2020/10/27

Apple Silicon Macへの期待

 iOSとmacOSの融合。時に否定しながらも、長いこと時間をかけてAppleが準備を進めてきた大きな戦略的転換だ。良いとか悪いとか別にして、いろんな意味でアーキテクチャが変わることについては単純に技術屋として興味が尽きない。

Apple Silicon Macでまず気になるのはタッチパネルの搭載の有無だ。iPadにはMagic Keyboardでトラックパッドを与えられた。逆にMacにもタッチパネルを与えるのが妥当とは思うが、Appleはやれても戦略的にやらないという選択をとる得る会社だから安心できない。

ただ、Intel Macにはタッチパネルを搭載せず、iOS/iPadOSアプリがそのまま動作するApple Silicon Macにのみタッチパネル搭載という形を取れば、Apple Silicon Macへの移行を早急に進めたいAppleにとって魅力的な訴求力になる。

何よりiPadとMacを行ったり来たりして作業していると、Macを操作していてもつい画面をタップしたくなった経験を持つ方も多いはず。ぜひ金持ち喧嘩せずの方向でApple Silicon Macにもタッチパネルを搭載して欲しい。

しかし、スマホやタブレットのタッチパネルとデスクトップPCやノートPCのタッチパネルでは全く使用感が違うだろう。PCでは画面を自分に引き寄せて操作できないため、特にマルチタッチとApple Pencilは使いにくいはずだ。Macにタッチパネルを搭載するとしたら懸念となる。

話題飛んで、Touch Bar。数年使ってみて、個人的にはこれは失敗作だったと言いたい。Touch Barを無かったことにするきっかけとして、Apple Silicon Macのタッチパネル化は魅力的なタイミングだ。画面内に同じ機能を移動することは簡単だし(すでにSidecarで実現されているし)、ミスタッチによる事故も減るし、少なくともTouch Barの分はコストが下がるはずだ。

さて、期待通りApple Silicon Macにタッチパネルが搭載されたとして、iPadとの差別化はどうなるのだろう。同じA14シリーズの中で性能差が付けられるだろうし、ストレージ容量、I/Oポート数も差別化ポイントとして利用されるだろう。でもそういう数字だけの違いでは、製品の特徴を際立たせることが難しくなるように思う。iOS/iPadOSとの融合が進むほど、MacがMacたる説明がその延命のために重要になる。